新学術領域

平成20年度新学術領域研究(研究領域提案型)「サンゴ礁学−複合ストレス下の生態系と人の共生・共存未来戦略−」領域代表者

研究領域の概要

・サンゴ礁は,様々な階層で生物と地形,人が相互作用し合う共生・共存系である.現在このサンゴ礁は,ローカルな環境ストレスと地球温暖化のストレスとによって,劣化・破壊の危機にある.しかしながら,サンゴ礁の階層的な共生系の維持機構とそのストレス応答が不明なため,科学的根拠に基づいて制御・再生策をとることができない.本新学術領域の目的は,サンゴ礁共生系の複合ストレスに対する応答モデルを構築するともに,応答モデルに基づいてサンゴ礁の監視・診断を行う手法を開発し,適切なストレス制御と修復・再生のために必要なガイドラインを示し,人とサンゴ礁の新たな共生・共存系構築のための学術的基礎を創ることである.


 以下の6つの計画研究によって進め(括弧内は計画研究代表者),領域全体の代表者は茅根である.

A01 複合ストレスに対するサンゴ―褐虫藻共生系の応答(日高道雄 琉球大)
A02 サンゴ礁生態系・物質循環共生系の素過程解明(鈴木 款 静岡大)
B01 ストレスとサンゴ礁の歴史的変遷(山野博哉 国立環境研)
B02 サンゴ礁―人間共生系の景観史(山口 徹 慶應大)
C01 地球温暖化に対するサンゴ礁の応答(茅根 創 東京大)
C02 複合ストレスの包括的評価・予測とサンゴ礁生態系応答モデル(灘岡和夫 東工大)

計画研究C01地球温暖化に対するサンゴ礁の応答

研究代表者:
茅根 創(東京大学理学系研究科・教授・地球システム学・総括/酸性化応答)

研究分担者:
菅 浩伸(岡山大学教育学研究科・准教授・サンゴ礁地形学・海面上昇応答)
杉原 薫(福岡大学理学部・助教・サンゴ群集生態学・サンゴ群集応答)


 サンゴ礁は,温暖化による白化,CO2濃度上昇に伴う酸性化による石灰化抑制,海面上昇による水没など,地球温暖化のシナリオの各要素と密接に関係している.それらの関係は単純ではなく,相互に関係し合っており,さらに生物や生態系が適応する可能性も示唆されている.将来のサンゴ礁と人との共生は,温暖化という条件のもとで構築していかなければならない.
 本研究の目的は,すでに現れた温暖化,酸性化,海面上昇のサンゴ礁に対する影響を,サンゴ群集や生態系,地形スケールで検出し,温暖化に対するサンゴ礁の応答を評価するとともに,室内実験によって得られた応答の結果と野外調査・実験に基づいて,温暖化に対するサンゴ礁の生態系・地形レベルの応答を評価・予測することである.その際に,水温上昇や酸性化に対するサンゴの応答を,それぞれが単独で起こった場合と複合して起こった場合とで比較する.また,こうした変化に対するサンゴの適応を遺伝子レベルから群集レベルで評価するとともに,サンゴ礁の応答が群集代謝を通してCO2濃度上昇に対してどのようなフィードバックをもたらすかを明らかにする.
 全体の総括と酸性化応答を茅根が,温暖化に対するサンゴと群集の適応と応答を渡辺が,海面上昇に対する応答を菅が,群集の遷移を杉原が分担する.室内実験については研究項目Aと,群集の変遷とその予測についてはBと共同で行い,本課題の結果を計画研究C02においてローカルな負荷との複合に対する応答モデルの構築につなげる.

詳しくは新学術領域HP(http://www.coralreefscience.jp)をご覧ください.


概要図01

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